短編小説『必要なあなた』

私にはあなたが必要です。

もしもあなたの目が見えなくなったなら、
私があなたの目になりましょう。

もしもあなたの手が動かなくなったなら、
私があなたの手になりましょう。

もしもあなたが私の事を忘れてしまったなら、
私がいやってゆうほど話しかけて、
あなたに思い出してもらいます。

声を失っても、歩けなくなっても。
私の言葉があなたに届かなくなっても、
私はずっと、あなたの側にいます。

あなたの笑顔が見たいから、
私は今日も、おどけてみせます。

それでも。もしもあなたが悲しくて仕方がない時。

私はあなたの、
お父さんやお母さんになります。

たぶん力不足ではあるでしょう。
それでも。あなたを全力で守ります。
私はあなたと共に、年を取ってゆきたいのです。

あなたは決して、一人きりじゃありません。

へんな言い方になってしまいますが、
あなたはあなた自身の為に、生きてゆけばいいのです。

偉そうな事を言うつもりも、
自己啓発をうながすものでもありません。

ただ生きればいい。それだけなのです。

いつものように朝を迎え、息をして、食べて、
自分自身を愛してあげればいいのです。

あなたが幸せだと、私も嬉しい。

そしてそれは逆の事でもあって、
私が幸せな時、あなたに見守られていると感じるのです。

ここまで書いてきて。“あなた‟とは誰なのか?
神への祈りのように聞こえなくもないのですが、

あなたは、あなたです。

一人の人間が、一人の人間を思って書いています。
生きていると。色々な悩みや、上手くいかない事が沢山あります。

それでも、“ファイト”と私は言い続けます。

自分の弱い所。ぶっちゃけちゃいましょう。
弱音はきまくりでもいいから、生きてゆきましょう。

へたれでもかっこいい!

そう。
生きてゆく事は、かっこいいんです。

今日学校で、会社で、バイト先で。
そして家庭で、嫌な事があったかもしれません。

でも。
そんなの忘れちゃえるくらい、私はあなたをハグしちゃいます。
苦しかったら、泣いちゃいましょう。

泣くことは決して恥ずかしい事ではありません。
声に出してもいい。うなってもいい。誰かに聞こえてしまってもいい。

心の底から、気持ちを出して、すっきりしちゃいましょう。

そして落ち着いたら。
少しでも気持ちに余裕がうまれたら。
誰かの為に愛を使ってほしいのです。

その心や、気持ちは、
あなたの人生にとても必要なものだと思います。

あたたかい気持ちの貯金。
少しずつ増やして、そうして私と一緒に生きてゆきましょう。

最後にもう一度言わせて下さい。
私にはあなたが。ものすごく必要です!


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