歴史散歩『東海道五十三次3(岡部宿~舞阪宿)』

前回の歌川広重の浮世絵に関する東海道五十三次に於いて、20番目の宿場町・鞠子宿(丸子宿)まで記載させて頂きましたが、今回はその続きを記載させて頂きます。

<基準>
1里=36丁=2160間
1里=3627.27m

岡部宿(駿河国・志太郡)

日本橋より21番目の宿場
現在地:静岡県藤枝市
前宿より1里29丁(7.09km)
累積:日本橋より約180.83km

東海道の難所のひとつ。両側から迫る山々、渓流が描かれています。やや紅葉している木もあることから、初秋であると思われます。《現在のPhoto》は今の宇津ノ谷です。階段ではありますが、今でも険しい道に変わりはありません。

岡部 宇津之山
《現在のPhoto》宇津ノ谷

藤枝宿(駿河国・志太郡)

日本橋より22番目の宿場
現在地:静岡県藤枝市
前宿より1里29丁(7.09km)
累積:日本橋より約187.92km

馬の乗り換えや輸送の拠点です。街道の重要な場所として当時を知る貴重な資料になります。《現在のPhoto》では旧東海道とは少し離れますが、現在のJR東海道線の藤枝駅です。この付近には徳川家康ゆかりの藤枝市指定史跡「田中城址」などがあります。

藤枝 人馬継立
《現在のPhoto》JR東海道線の藤枝駅

島田宿(駿河国・志太郡)

日本橋より23番目の宿場
現在地:静岡県島田市
前宿より2里8丁(8.73km)
累積:日本橋より約196.65km

こちらも難所のひとつで大井川の渡しの様子が描かれています。雨が降ると水量が増して川を渡れずに、旅人を苦しめたようです。《現在のPhoto》は現在の大井川です。現在は『島田宿大井川川越遺跡』が建てられ当時の川越の難しさなどが伝えられています。大井川は、静岡県の中部にあります。源流は静岡県、長野県、山梨県の3県境に位置する間ノ岳(標高3,189m)です。静岡県の中央部から、島田市付近を抜けた後に駿河湾に注ぐ全長168kmの河川です。昔は大雨が降ると川越が困難になり、足止めされた旅人が多くいたようです。

嶋田 大井川駿岸
《現在のPhoto》大井川

金谷宿(遠江国・榛原郡)

日本橋より24番目の宿場
現在地:静岡県島田市
前宿より1里(3.93km)
累積:日本橋より約200.58km

島田宿と同じく大井川の渡しの様子です。金谷宿の絵では対岸の山々まで見られます。奥に見える変わった形の山は実際には存在しません。広重の創作で描かれたと云われています。《現在のPhoto》は大井川の対岸です。広重の絵にある変わった形の山は存在していません。

金谷 大井川遠岸
《現在のPhoto》大井川の対岸

日坂宿(遠江国・佐野郡)

日本橋より25番目の宿場
現在地:静岡県掛川市
前宿より1里24丁(6.55km)
累積:日本橋より約207.13km

東海道三大難所のひとつとされている中山の様子です。急な斜面からも険しい道中が想像できます。《現在のPhoto》は現在の中山峠付近です。険しい道のりが今でも伝わります。

日坂(にっさか) 佐夜ノ中山
《現在のPhoto》牧之原 茶畑

掛川宿(遠江国・佐野郡)

日本橋より26番目の宿場
現在地:静岡県掛川市
前宿より1里19丁(8.99km)
累積:日本橋より約216.12km

左側から来る僧侶に敬意を払い、頭を下げて挨拶する様子が描かれています。このあたりは凧あげが盛んだったようです。《現在のPhoto》は菊川河口に掛かる『潮騒橋(浜松御前崎自転車歩行者専用道路橋)』です。全長232mで平成7年8月に開通しました。吊床版橋としては国内最長です。この菊川河口エリアは釣りが盛んで、特に夏から秋にかけて、ハゼ・セイゴ・クロダイ・キビレなどが釣れるようです。

掛川 秋葉山遠望
《現在のPhoto》菊川河口で釣りをする人

袋井宿(遠江国・山名郡)

日本橋より27番目の宿場
現在地:静岡県袋井市
前宿より2里16丁(9.6km)
累積:日本橋より約225.72km

日本橋から27番目の宿場町で、京に向かう東海道中の中間にあたります。この絵では街道沿いの休憩所の様子が描かれています。《現在のPhoto》は『久努の松並木』184本の国道沿いに並ぶ松並木です。東海道五十三次のちょうど中ごろ、「袋井宿」付近にあります。

袋井 出茶屋ノ図
《現在のPhoto》東海道の松並木 袋井

見付宿(遠江国・磐田郡)

日本橋より28番目の宿場
現在地:静岡県磐田市
前宿より1里半(5.9km)
累積:日本橋より約231.62km

天竜川の舟渡しを描いています。遠くの霧煙る描写や近景など、遠近法を利用した素晴らしい構図で描かれています。《現在のPhoto》暴れ川と云われた天竜川。この川は洪水や水害が多い河川です。長野県・愛知県・静岡県を経て太平洋に流れていきます。現在では上流にダムが造られ穏やかになりましたが、昔は大雨が降ると、近隣に多くの水害をもたらしていたようです。現在の国道1号線を通る新天竜川橋(右側)。この橋は車道と歩道がありますが、天竜川橋(左側)は車専用です。

見附 天竜川図
《現在のPhoto》天竜川橋と新天竜川橋

浜松宿(遠江国・敷知郡)

日本橋より29番目の宿場
現在地:静岡県浜松市中区
前宿より4里7丁(16.42km)
累積:日本橋より約248.04km

浜松城の城下町として栄えた浜松宿は遠江国・駿河国の中で最大の宿場でした。日本橋から京までの距離としては中間にあたります。絵では一本松の下で焚き火をする人々の様子が描かれています。《現在のPhoto》は浜松城下の街道沿いの松です。今も昔も休憩場所と利用されています。

濱松 冬枯ノ図
《現在のPhoto》松

舞坂宿(遠江国・敷知郡)

日本橋より30番目の宿場
現在地:静岡県浜松市西区
前宿より2里30丁(11.13km)
累積:日本橋より約259.17km

日本橋から離れ、富士山も小さく描かれています。鮮やかな藍色で海が描かれています。この美しい藍色はヒロシゲ・ブルーと云われています。《現在のPhoto》は現在の漁船が集まる舞阪漁港付近の遠景です。手前に見えるのは浜名大橋(浜名バイパス)です。奥に舞阪漁港があります。広重の絵では漁港の奥に富士山が観えるので、現在の浜名大橋の右奥付近から漁港方面と富士山を観ていたのかもしれません。

舞坂 今切真景
《現在のPhoto》富士山と浜名湖と橋


今回は21番目の宿場町・岡部宿から30番目の宿場町・舞阪宿まで書かせて頂きました。次回は31番目の宿場町・新居宿から40番目の宿場町・鳴海宿まで書かせて頂きます。今後ともよろしくお願いいたします。

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